底井野往還
今回の散策は底井野往還を歩く(底井野編)です。中間編の続きとなっておりますので合わせてそちらもご覧ください。
底井野往還とは写真の通り赤い線で示した街道で、江戸時代の参勤交代の際に福岡藩が利用した近道でした。歴代の藩主が遊猟で底井野に宿泊したため、この地域の中心的な村として底井野は発展しました。

底井野 散策
中間編では北九州市八幡西区中の原の「涼天満宮」から中間市の「遠賀川水源地ポンプ室」まで散策しました。今回の底井野編では、対岸の中間市下大隈の「十五社神社」からスタートし、鞍手郡鞍手町新延の「六反田」までの散策です。
① 十五社神社
遠賀川水源地ポンプ室と十五社神社との間を流れる雄大な遠賀川。そこに中島という中洲があります。現在は生物多様性を取り戻すため自然再生計画がすすめられています。私が訪れたときは多くの釣り人がいました。中島には古墳時代の円墳が確認されており興味深いところです。

さて十五社神社からスタートです。十五社神社には疫神社の鳥居もありました。疫病除けにご利益があるのでしょう。

② 阿弥陀寺
十五社神社から街道は住宅地の細い道を進みます。右手に阿弥陀寺があります。


③ 風景A
写真はJR福北ゆたか線の高架です。高架をくぐると田畑となり街道は消滅しますが、熊野稲荷神社の赤い鳥居が正面に見えますので、迂回してそちらまで進みます。

④ 熊鷹稲荷神社
神社は民家の敷地内にありますのでご迷惑にならないようにお参りしましょう。

⑤ 正覚寺
街道は写真の地点で左に曲がります。このあたりから底井野です。右へ進むと底井野小学校があり、かつては藩主の宿泊施設である御茶屋がありました。

民家の細い道を進むと浄土宗の正覚寺があります。もともとは平安時代に平重盛が創建した真言宗の寺院で、十八町の水田を所有していました。戦国時代に浄土宗の寺院として再興し現在に至ります。境内には大師堂・観音堂・多くのお地蔵様があります。底井野を古くから見守ってきた寺院ですね。

⑥ 蓮光寺・薬師堂
正覚寺から先へ進むと上底井野交差点にでます。その一角に浄土真宗の蓮光寺があり、その向かいには薬師堂があります。



⑦ 底井野往還案内板
上底井野交差点から大通りを東へ進むと底井野往還の案内板が設置されたスペースがあり、歴史を伝えています。

⑧ 小田宅子生家
上底井野交差点の一角には小田宅子の生家跡があります。小田宅子は両替商を営む小松屋の長女として生まれ、商才があり教養も高く美貌の持ち主でした。彼女は53歳の時、歌人仲間と伊勢や日光へ旅をし、それをまとめた紀行文『東路日記』が知られています。なお、俳優の高倉健(小田剛一)は小田宅子の子孫です。


⑨ 月瀬八幡宮・猫城跡
高さ20mの丘の上に建つ月瀬八幡宮。もともとは中世の豪族・麻生氏や宗像氏のお城である猫城の跡に建てられました。境内には大きな猫城の石碑が建っています。



底井野には山田川という用水路が流れています。江戸時代から人々の生活を支えていたのでしょう。

⑩ お堂・お地蔵様
写真のお地蔵さまやお堂は民家の敷地のようなところにあるのでご迷惑にならないようお参りしましょう。何のお堂なのかはわかりませんでしたが、内部は大変荒れ果てていました。


⑪ 大イチョウ下の庚申堂
底井野を後にして街道を進みます。次は鞍手郡鞍手町の木月という地域になります。写真の大イチョウの下には庚申尊天を祀ったお堂があります。

⑫ 風景B
写真の木月口交差点で街道は再び田畑によって消滅します。交差点を左へ曲がり、照安寺へ続く舗装されてない道がありますので、そちらを進みましょう。


⑬ 剣神社
御祭神は須佐之男命・日本武尊・宮須姫の命。照安寺の左手にある山の中に堂々と立っています。ひっそりとしたところです。

⑭ 照安寺
照安寺は浄土真宗本願寺派の寺院です。

⑮ 木月橋
街道は住宅地の細い道を進みます。住宅の区画に沿って石が並んでいる様子が見られましたが、江戸時代からのものなのでしょうか?途中、古月小学校の前を通り、木月橋へ出ます。



⑯ 黒橋
街道は木月から古門という地域へ進みます。写真の正面にみえる荒五郎山へ向かって進みます。

写真は荒五郎山へ接続する黒橋という高架です。

さて、この黒橋を渡ると街道は二手に分かれます。下の写真をご覧ください。右手の登り道は薬師院へ通じます。街道はその途中で山を下りる「苦しヶ峠」の道を進みます。左手の下り道は「山裾の道」です。
どちらも山を下った先で合流します。どちらに進んでもかまいませんが、苦しヶ峠の方が山中なので足場が悪くきついかもしれません。でも、美しい山中の景色を楽しむことができます。今回は右手を進みます。

⑰ 風景C
しばらく進むと下の写真の地点に出ます。カーブミラーの立っているあたり、森の中へ続く道が伸びています。舗装されていない道となりますがこの道が苦しヶ峠の道です。右は薬師院へ続きます。

峠道はところどころ足場が悪い箇所がありましたが、写真のような見晴らしのいいところや竹林を歩くことができてとても美しかったです。何も標識がないので、設置してもらえると安心して歩けると思いました。


⑱ 薬師院
薬師院からの眺望もまた美しく、鞍手の町を一望できます。


⑲ 風景D
写真は苦しヶ峠道と山裾の道が合流する地点です。街道はここから手前方向へ進みます。


⑳ 風景E
街道は車通りの多い県道をしばらく進みます。田畑の広がる美しい景色が広がります。そして写真の地点で右に進みます。

㉑ 六反田の追分
終着地点となる新延の六反田に到着です。この大通りは中筋往還(赤間街道)です。
長崎街道の木屋瀬宿から続くこの中筋往還についてもいつか投稿したいと思います。最後まで読んで頂き有難うございました。

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